大学研究者のためのGAPファンド活用法(1)

大学研究者が自身の研究成果をもとにしたスタートアップを起業する際には、GAPファンドの活用を推奨したい。 GAPファンドとは、大学の研究成果を事業化する過程で生じるギャップを埋めるために、政府や自治体が提供する補助金のことである。「ファンド」という名称ではあるが、ベンチャーキャピタル(VC)による投資とは異なり、リターンを求めない創業支援金と理解すると分かりやすいだろう。

GAPファンド活用のポイント

特に重要なのは、GAPファンドの応募対象は「法人」ではなく、「創業前のチーム」である点だ。 したがって、GAPファンドの獲得を目指す場合、法人設立を急ぐのではなく、まずは創業前チームとしてGAPファンドを活用しながら1〜3年間の準備期間を経て起業することになる。Non-equity型(株式を提供しないかたち)で資金を受けられるため、創業メンバーの持ち株比率が希薄化しない点は大きなメリットであろう。また、事業化推進機関としてVCの参画を条件とするケースも多く、この場合、起業時の資金調達の際に、事業化推進機関がリードVCとなることで資金調達をスムーズに進められる可能性が高まる。

応募を検討する際は、所属大学の担当事務へ相談するとともに、ビジネスシナリオを描くことができる経営人材の支援を受けることを強くお勧めしたい。ビジネスとして成立するか、強い顧客ニーズは存在するか、スタートアップ的な大きな事業成長が期待できるかなど、学術研究の補助金とは異なる視点がGAPファンドではより重視されるからだ。

以下に代表的なGAPファンドを紹介する。詳細については応募要領を参照いただきたい。